海洋航海術はどのように伝えられたか HOW NAVIGATION WAS LEARNED ①
昔々…大昔、海の航海術など、まだ誰も知らなかったら時代の話。
当時、人々は航海と言えば、すぐ近くの島と島の近距離の移動をする為の手段の事でした。
誰一人として航海術などと言う知識は知る由もない時代で、時には何の知識もないまま海へ船を出しては、永遠に戻ってこない者がたくさんいました。
しかし空を悠々と飛んでくるサンドパイパー(シギ科の海鳥)だけは、この航海術を知っていました。この鳥は、島から島を自由に飛び回り、時にはとてつもなく遠い海を越えて、獲物を見つける為に島をめがけて飛んでくるのでした。
そして、何よりこの鳥の一番の好物と言えば…人。そう人間です。
サンドパイパーがひとっとびをして、見つかった人々は全て餌になってしまいました。
この人食い鳥、実際はそんなに大きくないのですが、何せ、いつでもとんでもなく最高にお腹が空いていると言う鳥でした。
ついさっき、そこら辺にいる全ての人々を食べ尽くした直後でも、サンドパイパーは必ずまた次の獲物が欲しくなるほど、とてつもなく底なしの空腹な鳥でした。
サンドパイパーはミクロネシアの島々を飛び回っていました。サタワル島へ飛んで行き、そこにいた全ての人を食べ尽くしました。それからラモトレックへ飛び、そこでも同じように人々を食べ尽くしました。この鳥が辿り着いた次の島は、必ず同じ運命を辿りました。
こうしているうちに、島と言う島より人々がほとんど居なくなってしまいました。
そして底なしの空腹を抱えた鳥は、相変わらずの空腹を抱えたままです。
サンドパイパーは考えました。
「一体どこに行けば餌にありつけるんだ?」
そして以前に聞いた覚えのあるプンナップ島を思い出しました。しかし、どこを飛んでもこの島が見つかりませんでした。
鳥はピケロット島から東へ飛び立ちましたが、この島は見つかりません。
それではと思い、ファズ島から南へ飛び立ちましたが、やっぱりこの島は見つかりませんでした。鳥が例えどんな場所から、どこへ向かって飛び立とうとも、このプンナップ島とやらは全く見つける事ができませんでした。
⇒海洋航海術の伝承②