グアム・サイパン太平洋の伝説


森の小人 ドゥヘンデス②

ドゥヘンデス DUHENDES, TRICKSTER ELEVS OF THE JUNGLE ②

 小人達がある日、ミゲールをジャングルの中へ誘い込んだ話です。
 家族中がこの小さな男の子を探して廻りジャングル中を駆けずり回りました。そして数時間が過ぎた頃、家族はバニアンの木の一番高い枝の上で何かが動いている音を聞き付けました。

 上の上のそのまた上を良く見ると、何という事でしょうか!
 枝の一番てっぺんに、何とミゲールが座っているではありませんか!!一体どうやってあんな高い所まで登って行ったというのでしょう。

 その後、家族がやっとミゲールを木のてっぺんから降ろした時に、彼は一言も言葉を発しませんでした。話す事が出来なくなっていたのです。小人達にかけられた魔法のせいでした。

 ミゲールの父親は急いで彼を自分の母親の元へ担ぎこみました。この物知りのミゲールの祖母が彼を「神聖に清めたベルト」で優しくそっと叩き始めると、ほどなく魔法が解けたのです。ミゲールは元に戻り、話ができるようになりました。
 彼が発した第一声は「僕は二度とジャングルには行かないよ!」です。

ロ―サの叔母であるチランはこんな話をしました。
ある日、小人達のグループがバナナの木の周りで踊っていました。彼らは手を繋ぎ、楽しい歌を朗らかに歌い、木の周りをくるくるくるくる回り続けていました。

 そこへ小さな女の子が彼らの歌を聞き付け、とても気になったので、忍び足でそっとその木に近付いて行ったのです。すると突然小人達は円座から跳び上がり、バナナの葉を彼女に投げつけました。するとどうでしょう!突然女の子の体が小さく縮み出し、z-z-z-zip! あっという間に小さな人形の様になってしまいました。
 小人達は女の子をひょいとつまみあげて運ぼうとしましたが、幸い女の子のおばあさんがそれを見ていたのが救いでした。おばあさんは「神聖なベルト」を取りだすと、女の子を思い切り叩きました、と同時にz-z-z-zip! 魔法が解けたのです。女の子は無事に元のサイズに戻り、喜んでおばあさんに抱きつきました。そして二度と家から離れてふらつかない事を約束しました。

 ドゥヘンデス達は常に子供達にいたずらをする事だけに時間を費やしている訳ではありません。
 彼らはココナッツの殻で面白い帽子を作っていました。もしココナッツの木の下にそれを見つけたら、うっかり小人達が置いて行ってしまったのかも知れません。彼らは砂の粒子に糸を通して、ネックレスも作ります。それらは作った後に波間に投げてしまいます。もし浅瀬で泳いでいる時に、表面の乾いた硬くてカールしている円を見つけたら、それは彼らが残していったネックレスです。

 その他にも、魔法で破れた魚の網を一つに直したり、ファニヒと呼ばれるフルーツバットの背中に乗って、グアムまで飛んで行ったりします。

 スペイン人の両親は、最初に子供達にこのいたずら好きな小人に気を付ける様に注意しました。ある人はドゥヘンデスは洗礼を受ける前に亡くなったとても小さな子供達自身であると言います。彼らの魂が天国もしくは地獄へ行くことがままならず、結局小さな亡霊になり、同じような小さな子どもを遊び相手に探して彷徨っていると言います。
 いつ、どんな時でも、ジャングルに出かける時はこの小さくていたずら好きドゥヘンデスに気を付けて下さいね。