PALAUの伝説
この海は大きな力に支配されています。
そしてこの海は大きな恵みを民にもたらします。
三つの大海が交わり豊かな資源を育んでいるこの海には、魚の産卵場所があちこちにあります。ネックレスの様な形状をしたパラオの島々に囲まれたリーフの中には、14,000種を越える魚達が生きています。
サンゴは育ち枝葉を広げて生き物達に住処与え、そして、そこでは命の食物連鎖が繰り返されているのです。
大きなシャコ貝がいました。十年また十年と、その貝殻は成長するにつれて、ターコイズ、ルビー、シエナと色とりどりの発光を繰り返します。
彼らの持つベルベットのように波打つ形の口は、驚く程の色気を放ち、みずみずしく潤い、そして柔らかいのです。
パラオにある島の名前は、バベルダオブ、カヤンゲル、ペレリジュ、ンガーチョクルと、舌を薄く使い音節を歌うような発音です。北にある火山島は、熱帯雨林のジャングルもしくは干潮のマングローブの沼地で泥だらけの海岸か、熱帯の荒野で吹きさらしの高地です。
バベルダオブ島の北海岸の丘にそびえ立つ一枚岩は、彼らの創造力豊かな物語を、その姿にミステリアスな静寂に閉じ込めて、ずっと歴史を見つめてきたのでした。
パラオの島の人々にとってパラオの島の伝説とは、昔は元より今なお一層神聖なものとされています。
「過去の決断が未来を創る」治めるという事は、文明の調和と繁栄を得るために過去より多くを学び、全ての命あるものを尊重して、古代からの伝統と歴史を重んじる事が大切であるという基本的信念に集約されます。
彼らの伝説は、創造、変化、そして破壊により構成されています。
それらの神聖なストーリーは、人々によって口々に語り継がれてきたり、ダンスによってその内容を表現されたりしてきました。また、それらの内容を目で見て理解できるように、絵や木彫りの工芸品にストーリーを残しています。伝説から切り取られ彩られた定型サイズの絵の数々は、男の棟梁達が使用する伝統的様式の木造の集会所に飾られていました。
最近は伝説の一話を、厚さが3センチ以上の木の板に、話の要点になる部分の場面を彫り込んだものが作られていて、それは「ストーリーボード」と呼ばれています。
パラオの伝説で最も多く語られるものは、人々と大地である地球、生命の源である海の相関関係がいかにあるべきかという事、精神論の観点から人と人が助け合い生きていくにはどうするべきかなどが描かれています。