海洋航海術はどのように伝えられたか HOW NAVIGATION WAS LEARNED ②
その頃、この小さなプンナップ島に、小さな女の子と、この女の子のお爺さんが住んでいました。
お爺さんが海で魚を獲っている間、孫娘がタロイモの世話をして、つつましくとも、とてもとても幸せに暮らしておりました。
彼らの住む島は、ファズ島とピケロット島の間にあり、静かで安全でした。
さて、何故守られているのかと言えば、このお爺さん、パルロップさんが魔法をかけていたからでした。この魔法はbwabwaと言って、雲の様なものが盾の様に島全体を包み隠し、サンドパイパーの目にはこの島が透明で全く映らない様に守ってくれるものでした。
これまで何年の間、お爺さんと孫娘はとても安全に暮らしてきました。でもそんなある日、遂に島と言う島の人々を食べ尽くしたにもかかわらず、さらにお腹をすかせている欲張りなサンドパイパーが、マガ―(ミクロネシア連邦 チューク島)へ休憩する為に降り立ってきました。
「例のプンナップ島とやらは、ここら辺にあるはずだぞ。」
「そう言えば俺が南へ向かってゆっくりと飛んで行く時に、いつも同じ場所にある雲があるが…どうやらあの辺りが気になるな。きっとそこら辺にあの島があるに違いない、そこにはまだまだ新鮮な人間が残っているはずだ。」
そう言うが早く、サンドパイパーはマガ―から、その雲をめがけて一目散に飛び立っていきました。
そうです、そこはまさにプンナップ島が隠されている場所だったのです。
サンドパイパーが雲を見つけて早速その中に突入していくと…眼下にはまさしくこれまで探しあぐねていた、美しく平和な島が現れました。
「新鮮な餌にありつけるぞー」
鳥は雄叫びをあげながら、美しい砂浜へ降り立ちました。
⇒海洋航海術の伝承③