グアム・サイパン太平洋の伝説


海洋航海術の伝承

海洋航海術はどのように伝えられたか HOW NAVIGATION WAS LEARNED ④

 この山の様な食べ物といったら、サンドパイパーがどんなに早く食べ尽くし浴びる様に飲み干しても、瞬きをした次の瞬間には、あっという間に元の量に戻っているのですから大変です。
 おかしいやら驚くやら、でも美味しいので止まりません。どんどんと食べ続けていく内に底無しの腹を持つサンドパイパーでも、とうとう今までにないほどの満腹感には達し、同時にこれまでに感じた事の無い幸せな気持ちに包まれ始めていました。

 サンドパイパーは上機嫌で「お嬢ちゃん」と、孫娘に呼びかけました。(既にお腹が膨れすぎていて、簡単に動く事も出来ない程でした。)
 「お前達が十分に俺をもてなしてくれて、こんなに満腹になった。お礼に何か贈り物をしたいと思うが…そうだな、島から島を渡れる航海の秘密を教えてやろうじゃないか。」

 孫娘は大変優秀な生徒だったので、この鳥から習った全ての事をお爺さんにそのまま伝える事が出来ました。
 サンドパイパーは教えられる全ての知識を女の子に伝えきった時、プンナップ島を離れる事にしました。
 「ここまでだ。もう行かないとならない。」人食い鳥が言いました。
 「ここを出て、また腹が減ったら新たな獲物のいる島を探さないとならないからな。」
 鳥が島を飛び立つ少し前に、頭の良いお爺さんは孫娘にそっといくつかの計画を囁き、孫娘はにっこりと笑顔を見せました。

 「待って、サンドパイパーさん」女の子が呼び止めました。
 「これから長旅に出られる前に、良かったら少し魚とタロイモを持っていきませんか?」
 サンドパイパーは、それはいいアイデアだとうなずきました。
 けれどこの鳥、とてつもなく欲張りなので、目の前の籠に魚とタロイモをどんどんと積み上げ続け…もうどこにも隙間がない程に全ての食べ物を詰め切り、最高に重いこの籠を加えながら、ゆっくりと飛び立っていきました。
 しかしながら、この欲張りな人食い鳥は、実際大きくありませんでしたので、すぐにこの籠の中に食べ物を詰め込み過ぎたと気が付きました。あっという間にバランスを崩すと、真っ逆さまに海の中へと転落してしまったのです。
 頭の悪いこの人食い鳥が溺れたその場所、島とサンゴ礁の位置が今日まで語り継がれているとの事。

 その後、お爺さんと孫娘は大勢の人々にこの鳥から教わった航海術を伝承していきました。
 航海術発祥の地として、今日までプンナップ島はその名を歴史に刻んでいます。


⇒グアム・サイパン太平洋の伝説