グアム・サイパン太平洋の伝説


グアムを救った女性

グアムを救った女性 HOW THE WOMEN SAVED GUAM ③

 女達はそれを見守り、待っている間中、織物を続けた。編んで、編んで、また編んだ。
 彼女達の指は休むことなく、一体何か自分達にできる事はないのかと思いを巡らせながら、その葉でリボンを編み続けた。

 彼女達は円座になり、背筋を正して、頭を垂れた。女達の漆黒で長い髪の毛が、辺り一面に広がり、それはまるで魚を獲る網の様に見えるのであった。
 女達は夜通し織物を続けた。とうとう太陽が水平線上に顔を出し始めたその時、女達は夫や息子達が怪物狩りから戻ってくるサインを見逃さなかった。

 女達は、その三角の帆が闘いに疲れ切った男達を、遥か遠くから徐々に近付き大きくなってくる様子は全く見えていなかった。しかし、変わりにその時不思議な光景はを見た。
 それは、AGANAとPAGOの間に横たわる大きな海底のトンネルから、巨大なatuhongがサンゴ礁に向かって泳いでいった姿であった。

 やがて島が食べられ始め、一日中地面が震えだす。怪物は永遠に食べ続け、岩礁を破壊し続けた。その様子は人々がこれまで、島に対して行ってきた身勝手な破壊行為その物と同じ光景であった。

 このままではAGANAとPAGOの土地が消えてなくなってしまう、いや、島そのものが消えてしまうではないか。」

 「早く戻ってくるのです。」女達は祈りを唱え続けた。
 「早く戻ってくるのです、そしてこの島が消えてなくなる前に、怪物の息の根を止めなければ。」

 間もなく帆が水平線上に現れた。すぐさま男達はカヌーから這い上がり始めた。女達は男達に今見た光景を話し、そしてこう言った。
 「私達もあの怪物を捕える手伝いをしましょう、さあ一刻も早く、あのトンネルをくぐりぬける前に!」男達は嘲笑した。
 「女に狩りなんて無理な話だ。お前達はただ祈って織物を続けるだけでいい。一体何を言いだすんだ?」彼らは武器と沖網を持ち、重い足取りで湾の中を踏みしめた。そして怪物の周囲にその網を放ち、引き寄せ始めた。

 しかし、この巨大な魚は、その尾を一振りするだけで、大人の男達の体ごと珊瑚礁にぶつけて沖までふき飛ばす勢いである。そして鋭く大きな牙は、あっという間に沖網を細かく引き裂いてしまったのだった。
 女達はそれを見ていた。彼女達の思いはその指を伝わりパンダナスの葉に編み込み続けられていった。女達の心は片時も祈りを忘れずに考えていた。何を犠牲にすれば、このスピリット達の怒りを鎮める事が出来るのだろう?
 まるで子供が砂の中から貝殻を探り当てる様に、とりとめもなく答えを探そうと思いを巡らせていた。